あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
「どうして声かけてくれなかったんですかっ!」

頬を膨らませた彼女に俺の頬は緩む。
本当に可愛らしくて仕方がない。

「いや、だってあみちゃんの隣にはいつもイケメン二人がいたでしょ。
近寄るすきなかったでしょ」

運ばれてきた果実酒を取り上げて、かわりにお冷やを手渡した。

「二人のイケメン?
あーっ、颯馬と大翔!
電車で痴漢にあって、それからいつも一緒に登校してくれて。

颯馬わぁ、双子の兄なんです。
もう一人は大翔!
幼馴染みなの!

ふふっ大翔にはると!
同じ名前」

彼女の身体が大きく傾き、俺にもたれかかった。

「はると…眠いし…気持ち悪い…」

「帰ろうあみちゃん。家はどこ?送るよ」

店員をよんで会計をすませると、もたれかかる彼女を支えて店をでたが、すっかり酔いの回った彼女は歩くこともままならない状態だ。

「仕方ないか」

彼女をだきかかえると、俺は裏通りのホテル街に足をむけた。
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