あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて
大翔は今日は日勤でそろそろ上がれる時間なはずだ。

「お疲れ様です」

不意に現れた私に、スタッフたちは

「お休みなのにどうされたんですか?」

と首をかしげていたが家を出るときに颯馬が『これ、持っていけ』と手渡してくれた颯馬のケーキを

「兄のケーキ、差し入れにきたの。
お疲れ様」

と看護士さんに手渡すと

「うわっ!
あの有名なケーキですよね?
ありがとうございます!」

とスタッフたはちは大喜びしていた。それくらい、颯馬のケーキは今有名なお店になっているのだ。

「アイツとデートじゃなかったのか?」

ちらりと私に目を向けた大翔に

「今日は実家に帰ってたの。
たまには顔出さないと親が心配するからね。颯馬たちも来てたし。

大翔はもう上がり?」

真っ直ぐ見つめて大翔に尋ねると

「あぁ、もう上がりだ。

…今から暇か?
久しぶりに俺とデートするか?」

フッと微笑んだ大翔にすぐに頷く。

はると付き合いだしてから、そっけなかった大翔が久しぶりに私を近づけてくれた。

それは勘のいい大翔には私がなんで急に来たのかわかってしまったんだろう。

私は大翔が着替えてくるのを自分の車の中で待つことにした。





< 82 / 102 >

この作品をシェア

pagetop