愛は惜しみなく与う③
「なんだ?寝れないのか?」
「泉?」
元から起きていたのであろう。布団から声がする。
今日は5人で雑魚寝
1番窓際に泉は寝ていた
携帯の画面の明かりだろうか。泉の居る場所が光る。
「起きてたの?」
「ん?まぁな。お前は?最近夢を見るのか?」
泉には伝えている。
あの事件以降、ずっと悪夢にうなされていることを。日によるんだ。
何も見ない日が殆どなんだけど
気が滅入ると悪夢を見る
そして今日悪夢をみた
気が滅入る?楽しい楽しい旅行なのに。おかしい
「楽しいのに、嫌な夢をみた」
「…何かあったか?」
「いや、何も。普通に楽しかったよ」
「でも何かあったんじゃねーの?」
どうだろうか。わからない。基本は楽しかったよ?でも…
「明日、長谷川とかき氷か?嫌ならテキトーにメンバーと替わっとけ。無理に行く必要ないだろう」
泉はあの女が原因だとすぐ分かってくれる。
杏も気を遣ってた
そんなことして欲しいわけじゃないのに。
でもそんなことをさせてるのは俺なのに…