愛は惜しみなく与う③
いつもの声とは違う
紗羅ちゃんの低い声
聞きたくないような気もするなぁ…
ドアの外から気配が離れる
…声が届かなさそう
シャワーうっさ!でもこれでシャワーの音を止めたら、きっと紗羅ちゃんは話さない
「今日!?」
?
「わかったわ、ええ。そうね。常に誰かはへばりついてるわ。今日……また連絡するけど…あたしじゃ確実に勝てないんだから!5人は連れてきなさい」
まーまーでかい声で話すやん
悲しい気持ちを通り越して、呆れるわ
この旅行は普通に乗り越えたかったなぁ
「女?あぁ…別に好きにしていいでしょ。これできっと…私のことを見てくれる」
女ってあたしかな?
女って…女の子って言いなさいな…
きゅっとシャワーを止める
「切るわよ」
やっぱりなぁ
あたしに聞かれへんようにってことは、なんやろ?あたしだけかな?狙われてるの
それならまぁ良いんやけど
烈火のみんなを傷つけないなら、あたしはそれでいい
あ、まって、頭濡れてなおかしい?ドライヤーでもするか…
10分くらいドライヤーのスイッチをつけて、志木にLINEする
「長谷川 紗羅 調べて」
2秒後に既読がつき、5秒後に『かしこまりました』と返事