愛は惜しみなく与う③

「んーー勘違いやと思いたかったから、あんまり言わんかったけど、あれは黒やな」


ほんまに最初は分からへんかった。
すごい偶然やなって思った。

だってさ?泉だって、すごい偶然の出会いやったから。
たまたま拾った人とこんな仲良くなると思わへんし、まさか同じ学校で同じクラス

そんな偶然の出会いやったから


紗羅ちゃんと出会ったことも、すごい偶然やな!そう思っただけやった。



「出会いから怪しいかも」



口に出すと実感してしまう
まだ確信してる訳ではないけど。泉には話して意見も聞きたい


「結構はっきり言うんだな」


仲良くしてたから、気ぃ使ってた。わりぃ。
そう泉は呟く


「良い人そうとか、仲良くしたいとかで、やってける世界ちゃうからなぁ」


裏切り、騙し合い。よくある話。
だから仲間と思える人を作って、そして、信じる。仲間さえ信じれれば強い


「無理してない?」

大丈夫?非常階段に腰をかけるあたしの隣に、ストンと座る泉は、シャンプーの匂いがした

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