愛は惜しみなく与う③
「……杏、長谷川がなに考えてるか分からない今、あんまり2人になるな。心配だから」

隣に座る泉は、こっち向けとあたしの体を軽く引っ張る


「その感じだと、杏が狙いかもしれないだろ?いくら女だからって、どんな手を使ってくるかわからないから。何もしてこないかもしれないけど、杏は嫌な予感してるんだろ?」


……まぁ、そうやけど
嫌な予感ね。してるかな

でも、あたしで対応できるならそれに越したことはない


「負けるとは思わないけど、ほんと、もし何か企んでるなら、計画が練られてる気がする」

「ま、そうよな。わざわざ仲良くなって旅行まで来るんやし。これも思惑通りなのか分からん」
 

でも大丈夫


「割と冷静やし、絶対大丈夫やで」


そう。思ったよりも冷静
友達疑っといてなんやけど、冷静や。

安心して欲しくてそう言ったのに、泉の返答は思ってたものと違った



「冷静じゃなくなったら?」

「へ?」

目をしっかりと合わせてあたしに聞く泉
その瞳は不安そう


「冷静じゃなくなる状況だったら?1人じゃ危ないだろ」
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