愛は惜しみなく与う③
『朔には伝えてないよね?』
「うん。泉が、朔は顔と態度にでるから、言うなって言ってた」
『まぁそれがいいか。どうすればいい?特になにもアクションなければ、普通に宿に戻るよ?』
「うん…杏がいる時に何か起こりそう」
『杏ちゃんに何かするなら、手加減できないなぁ』
「なんでこんなにあの女が怖くて気持ち悪いのか、わかんないけど…誰かに悪意を持っているってのは分かるから。杏が傷つかないようにしたい」
『響が女の子にそんな風に言うなんて、妬けちゃうなぁ』
「ちゃかさないでよ」
慧はみんなのお兄さんみたいな存在
あっちは慧がいるならなんとかしてくれるだろう。
「響ーー?電話?」
「ん?もう切るよ」
慧にまた後でと声をかけて電話を切る。杏は…少し困った顔をしている
「どうかした?」
部屋の入り口からこちらを覗く杏は、ちょいちょいっと手招きをする
「あのさ?かき氷さ、あたしと紗羅ちゃん2人で行ってええ?」
なにを言い出すのかと思えば…
「絶対ダメだよ。泉にも側を離れるなって言われてる」