愛は惜しみなく与う③
……やば

あたし結構精神的にやられてる?
胸に手を当てて心臓の音を感じとる

動悸がすごい…

周りの音が静かになり、すーーっと身体が冷える




「おい、大丈夫か?」


突然の声に驚き、そして…

視界に入った赤い髪を、咄嗟に突き飛ばしてしまった


「いってぇ」

「ご、ごめん!!」


あたし最低や

朔は尻餅をついてこちらを少し睨んで見ている


朔はあいつと違うのに
赤い髪ってだけで、びっくりして突き飛ばしてしまった。
すぐに手を伸ばしたが、朔はあたしの手を掴まずに一人で起き上がる


「朔、ごめん!痛くない?」

「いーよ別に。尻餅ついただけだ」


フイっと顔を背けてしまった

あたし今どんな顔してた?最低な顔してた?もしかして、朔をみて、怯えた顔してた?

それやったらほんまに最悪



「杏、乗れる?」

「うん…」

泉にそっと背中を押されて車内に入る

あんまり周りを見れない

もし居たら


あたしがみたのが見間違いじゃなかったら?
いや、おるはずないか。
あたしがいつまでも…びびってるから、こんな事なるんやな

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