愛は惜しみなく与う③

「カッパ可愛いね」

「へ?」

「お、おい!響!どこがだよ!こんなてるてる坊主みたいな格好のどこが可愛いんだよ」

突っかかってくる朔と、ニコニコ笑う杏


「朔?あんまり素直じゃないと、可愛くないよ」


杏はどういうことか分かってないように、首を傾げたが、朔には俺の言葉が伝わったようだ。

けっ!と悪態をついて、できるならとっくに素直になってらぁ!と言い返された


うん

朔ってほんと、小学生の頃にいた、好きな女の子をいじめて泣かせちゃうタイプの男の子だな


動悸もおさまり、5分くらい歩くとかき氷屋が見えた。

杏と長谷川は、入り口で並んで目を輝かせている


「朔!響!早よ行くで!」

「はやくはやくー!」


ほんと、普通の友達に見える。杏は、辛いんだろうか。こうやって振る舞ってる間も、友達を疑うことは…とても辛いはず


「あいつら、仲良いよな」


俺らも行くぞ。朔に言われて歩き出す。
仲良いよな。そう思うよ、俺も
だけど


杏を傷つける可能性があるんだ…
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