愛は惜しみなく与う③
ほんまダサいわ
荷物置きとして、泉は新幹線を向かい合う6席を、二つ分取っている
あたしたちは7人
あたしは通路側に座り、隣に泉
そして前に紗羅ちゃん
その紗羅ちゃんの隣に慧と朔。
朔はあたしの方は見ずに、窓の外を眺める
あとでもう一度謝ろう
絶対嫌な気にさせた
「杏ちゃん大丈夫?」
「うん、大丈夫やで」
紗羅ちゃんに心配されてそう答えるが、ちゃんと笑えてるか分からない
響と新は、夏休み宿題をしている。
北蓮見でも一応宿題はあった。
それを響は早い事終わらせたいと、新に昨日頼んでいた。
平和やな
そう思うのに
心が少し重たい
「慧くんってモテるでしょー!私たちの世代からいうと、泉先輩がダントツでモテモテだけど」
可愛らしくクスクス笑う紗羅ちゃん
紗羅ちゃん居てよかった
もしあたし達だけやったら、きっと問いただされてた気がする
「やっぱり泉が1番モテるんだ?悔しいなぁ。こんな能面無口男のどこがいいの?」
「えー!やっぱりクールなところがモテるのかな?」
泉ってクールなんや
最初の頃は、まぁそう思ったけど