愛は惜しみなく与う③

ほんまダサいわ

荷物置きとして、泉は新幹線を向かい合う6席を、二つ分取っている

あたしたちは7人

あたしは通路側に座り、隣に泉
そして前に紗羅ちゃん

その紗羅ちゃんの隣に慧と朔。

朔はあたしの方は見ずに、窓の外を眺める


あとでもう一度謝ろう
絶対嫌な気にさせた


「杏ちゃん大丈夫?」

「うん、大丈夫やで」

紗羅ちゃんに心配されてそう答えるが、ちゃんと笑えてるか分からない


響と新は、夏休み宿題をしている。
北蓮見でも一応宿題はあった。

それを響は早い事終わらせたいと、新に昨日頼んでいた。


平和やな

そう思うのに

心が少し重たい


「慧くんってモテるでしょー!私たちの世代からいうと、泉先輩がダントツでモテモテだけど」


可愛らしくクスクス笑う紗羅ちゃん
紗羅ちゃん居てよかった
もしあたし達だけやったら、きっと問いただされてた気がする


「やっぱり泉が1番モテるんだ?悔しいなぁ。こんな能面無口男のどこがいいの?」


「えー!やっぱりクールなところがモテるのかな?」


泉ってクールなんや
最初の頃は、まぁそう思ったけど
< 14 / 410 >

この作品をシェア

pagetop