愛は惜しみなく与う③
屋根のあるところに行こうかな…
そう思っていると、声をかけられる
「あ、あの…すみません」
高めの声に少しびっくりして振り返ると、二人組の女が立っていた
どうしよう…
「このかき氷屋どこか分かりますか?」
テンパってる俺の前に、スッと差し出されたパンフレットが目に入る。あ、これ、さっきのかき氷だ
もう一度女をみると、普通に道に困ってるだけのよう
変な人じゃないし、こういうところから、しっかり対応しないと…
「あの、そこの道を入って行って…その先にあるんだけど…」
あっちの方か!ありがとございます!と感謝の言葉を述べて、その場を立ち去ろうとする女
もう一つ言わなきゃ…
「なぁ!」
二つの背中に声をかける
もちろん、二人は立ち止まるわけで…その視線が自分に注がれて、引き留めたくせに目を合わせることが出来ない
どうかしましたか?と尋ねる
そうだ。これだけ言ってあげないと…
「そのかき氷屋、もう閉まってると思う。限定5食しかないから…」
もう俺たちが帰るときには、今日は予約のみだと言っていたから…