愛は惜しみなく与う③
その女が…
サトルの髪色知ってるなんて、おかしいだろ
心臓が煩い
やばい
どうしよう
とりあえず、泉に電話しなきゃ
杏は、俺たちでさえ巻き込まないようにしてるのに、あの女にスコーピオンの話をすることは絶対にない。
それなのに
朔とサトルの髪色が同じだなんて
知ってる訳ない!!!
二人の背後から離れようと後退りすると、足元にいたウサギが、ガサガサと地面の草を揺らす
「お!帰ってきたか!おせーよ」
朔と女が振り返った
こわいな。毛穴からじんわりと汗が出ているのがわかる
「あれ?杏は?」
「ん、すぐ来るよ。先に二人と合流しようと思ってさ」
どうだ?バレてないか?動揺してるの伝わってないか?
何かあってからでは遅いから
「ちょっと泉に電話することあるから、まってて」
会話が聞こえないくらい離れて、泉に電話する
近くにいると言ってたから、きっとそんなに遠くには居ないはずなんだけど…
できればここに、泉もきてほしい
『どうかしたか?』
「い、泉!あの女…スコーピオン関係だ」