愛は惜しみなく与う③
『…どう言うことだ?』
そっちに向かう。そう言い泉が走っているのが、電話越しに分かる
「あの女、サトルの髪が、朔と同じ髪色だって知ってた!おかしいよ、絶対。杏はそんな話しないのに。なんで知ってるんだよ」
『わかった。杏は?どこだ?』
泉に言われてハッとする。杏はもう戻った?
ぐるっと見渡すが、杏の姿はない
「杏トイレにいる!俺もっかい戻るよ!」
そういえば…そんなに離れてないのに、杏の戻りが遅い気がする。あの足の速さなら、もう戻ってきててもおかしくない
「朔!俺ちょっとトイレもっかい行くから!」
同じ場所にしゃがんでる朔に声をかけて違和感に気づく
あれ
「お、おい。朔!あの女は!?」
朔の隣にいたはずの女がいない
「ん?長谷川なら、杏を迎えにいったぞ?」
「最悪…」
ただならぬ様子を感じ取って、朔もこちらへ来る
「おい、なんだよ。何かあったのか?」
「…いいから、杏を探して?あの女、スコーピオンと関係ある」
その言葉を聞いて、は?と言うが……すぐに切り替えてトイレのほうに走る