愛は惜しみなく与う③
朔も同じように近くにいる人に声をかけていると、さっき、かき氷屋のことを尋ねてきた女二人組に声をかけられる
今はそれどころじゃない
無視しようとしたら
「あの…金髪の女の子みたかも。カッパ着てる女の子ですよね?」
「そ、それ!どこに居た?どっかに行ったか?」
あわてて女二人に駆け寄る。
唯一の手がかりだから
「なんか…髪の長い女の子がナンパされてるのを、助けてて…その後ちょっと逃げるようにこの場所から、あっちの方に行ったけど」
二人はトイレの向こうの駅裏の、少し山道になっている場所を指差す
「あ、ありがと。髪の長い女って、青のワンピース着てた?」
長谷川の服
それが長谷川なら…
「うん、たしか紺っぽい色のワンピだった」
杏が危ない
「朔!あっちだ!」
聞き込みしてる朔の腕を引っ張る。その後ろから泉がきた
「杏は?」
「ごめん。長谷川と何処かへ行ったみたい。あっちの方。ついさっきだから見つけれる」
女の子二人にもう一度お礼を言って、山道へゆく
俺が杏に言われても、そばを離れなければよかった…