愛は惜しみなく与う③

「大丈夫だ。お前がしけた面すんな。杏を見つけるんだろ?それを必死にやれ」


ポンと頭に泉の手が乗る

悔しいよ


「おい、新?杏が居なくなったかも。駅裏の山の地図送ってこい。分かりやすいやつ」


泉は新に電話をしている。
俺たちの知らない土地。場所を知っていないと不利になる

長谷川が相手なら杏も大丈夫だろうけど


きっとそうじゃない


もしあのスコーピオンの男がここに居たら?


最悪の事態もあり得るんだから



「二手にわかれるぞ。俺はこっち探すから、朔と響は、こっちの道を行け」


二股に分かれた道で泉と分かれる


「くそ!あの女、なんだよ!杏の友達じゃねーのかよ!」

「……うん。そうだと思ってたんだけどね」


少し険しくなる道を走って、杏の名前を呼ぶ


夏だから、草が生い茂っている


何か杏の手掛かりになるものはないのか


雨がふっているため、ぬかるみに足跡がついているが、たくさんあり過ぎて分からない



お願いだから…

杏に早く会わせて…




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