愛は惜しみなく与う③
こっちのセリフやねんけどな。
もう今はなんでもいいから。
烈火のみんなに手が回らなければそれでいい。


何も言わないあたしにムカついたのか、突然水瀬はあたしに顔を近づけて、キスをしようとしてきた。

咄嗟に、やめてと、声を出してしまった


電話口からスピーカーにしていなくても、泉のあたしを呼ぶ声が聞こえた

あかん。泣くな、あたし

あたしの顔を見ながら、スピーカーにしといてやるよ。そう水瀬は言って、スピーカーにして携帯をあたしの隣に置いた


泉に聞かれたくない!!
歯を食いしばり抵抗する


その様子さえ水瀬は笑って見ていた


電話を切ってよ…


『お願いだからやめてくれ』


泉のかすれた声が聞こえた。その声であたしの涙腺は限界に近づく


そして次の瞬間


紗羅ちゃんが叫んだ



「泉先輩!!焼却炉のそ…キャア!」

「紗羅ちゃん!!やめて!水瀬!紗羅ちゃんに手ださんといて!」


紗羅ちゃんはここの場所だろうか?何かを叫んだ。

男は紗羅ちゃんに手をあげる

もう、やめてよ

< 189 / 410 >

この作品をシェア

pagetop