愛は惜しみなく与う③

不甲斐なさと、杏への愛しさから、力強く抱きしめる。

俺がもっと強かったら


杏は自分の身を守ることだけ考えれたのに。


悔しいよ。本当に

そっと杏は俺の背中に手を回した


「来てくれて…ありがと」


そう呟いた杏の瞳からは、大粒の涙が溢れた。
怖かったよな。心配だったよな。
ごめん。

もっと早く見つけてあげれたらよかったのにな


こんな弱り切った杏を見たのは初めてだった。
涙は止まらない。

今はただ…目立った傷がないことを喜ぶべきなのかもしれない



朔と響には怪我をさせた。
無理矢理相手を押し付けてしまった。
けど、あいつらも必死だったんだ。

みんな杏を助けたい一心だったんだ


みんなの心配をする杏を、優しくなだめる。今は杏は自分のことだけ考えて欲しい。


そうできるように俺は


チームで杏を守るんだ




「俺たちは強い」



杏に手を出した男を睨みつける


一切手加減はしない。俺はこの瞬間のために体力を温存していたから。


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