愛は惜しみなく与う③
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「杏?部屋から出て?外にはもう誰も居ないから。朔と響が待ってるから」


行っておいで?優しく笑う。


「泉は?」


どうすんの?そう聞こうとしたけど、あたしの肩を押して扉に近づく



「朔、響?杏連れて上行っといて」


泉がそう言うと、2人の姿がみえた。怪我…してるけど、大丈夫そう。


「お前は?どーすんの?」

「……総長として、やる事をするだけだ」


朔の問いにさらりと答えて、あたしは部屋から出された。

やる事を…


「おい、杏!大丈夫か?」


朔に肩を揺すられて我に返る。そうか。助かったのか。
実感が湧かない。
もうダメだと思った…


「2人とも…ありがと」


朔と響に飛びつく
安心した。みんながいつもと変わらへんから。
こんなアホみたいな判断したのに

優しくしてくれるから


「次、俺たちを信用しないで犠牲になろうとしたら、まじでぶっ殺すからな!」


本気だからな。
少し怒った声の朔も、あたしをみて泣きそうな顔で抱きしめてくれた。
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