愛は惜しみなく与う③

巻き込まれるから、入るなと入り口で止められる。

中からは声が聞こえた




「本当に手加減なしだな。顔の骨折れてる気がするんだけど!?」


水瀬の笑いながら話す声がした。
顔の骨…
はぁはぁと息があがっている


「質問に答えろよ。なんでお前らは杏をつけ回す?なんであの子を苦しめるんだよ」


バキッと何かを殴る音
骨の軋む音がする

あぁ…
本格的に始まってるし、後戻りのできない空気



「…やりすぎかも」


響はそう呟いた

すでに水瀬であろう男の顔は、原型を留めていないくらい、ボコボコに腫れ上がっている


まるで…


鈴がされていたように




身体が震える



「はっ!まじかよ。烈火強いじゃん。なめてたわ。ガハッ…!はぁ……サトルに今回の件バレたら俺は殺されるし…

別にお前が…先に殺ってくれてもいいんだぜ?」



ボロボロの水瀬を見る泉の顔は無表情そのものだった
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