愛は惜しみなく与う③
あの事件が起こって、今日は二日目だ
関東に戻る暇はなく、杏を近くの病院へ運んだ。
大きな傷はないが
身体的ストレスが原因だろうと医者に言われた。
そして気になっていたこと。
『性的暴行の跡はみられません』
その言葉を聞いて、全員が安堵した。
もし手遅れだったら…そう思うと本当にあの男を殺してしまう所だった
杏はまだ、眠っている
海斗さんは杏が目覚めるまで、好きに宿を使っていいと言ってくれた。
本当は今日帰る予定。
ただ俺は残る
「泉?下の奴らだけ帰すのは、不安だから…俺と新と響で、先に帰るよ?逐一連絡いれてね。
あと…杏ちゃんのこと、頼んだよ」
慧達が、先に帰ってくれるならメンバーも大丈夫だろう。
本当は俺がみんなを連れて帰るべきなのに
杏の側から離れるのが怖かった
いつまた、何が起こるかわからないし、病院にスコーピオンが来るかもわからないし…
とりあえず、離れるつもりはない