愛は惜しみなく与う③

「朔?みてて」


だが、シャワーも浴びてないし、服も着替えてないまま。
流石に気持ち悪いから、風呂入って飯を軽く食べよう。

朔がいれば、大丈夫


朔の頬…早く治んねーかな



本当なら、俺がいつも殴られる。

朔も情緒不安定になると、突然暴れだすから。俺はいつもそれの仲裁に入って、殴られる。

その方があいつにも、堪えるから

ただ今回は逆の立場



にしても…
サトルは杏を…昔から知っていたと言った。
そんな事あるんだろうが。杏はずっと知らないと言っていた。

一方的に知られてるとしても…
杏がそれに気づかないなんてあるのか?



風呂と食事をさっと済ませて病室へ戻る。
朔は、杏の枕元でゲームをしている。

いいのか悪いのか…はぁ


「どうだ?サッパリしたろ?」

「あぁ。目が冴えたよ」


もう片方の椅子に腰をかけて杏を見る。


病院服から見える首筋には、男のキスマークのような、赤い跡が残っている。

暴行されてないとしても…


こんなことトラウマになる


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