愛は惜しみなく与う③
予想通り、目をまん丸にして、朔は俺をじーっと見る


「え?西?か、関西?」

「馬鹿…流石にそれは無理」

噛み合わなくて笑いそうになる
杏達が統一したと言われてる、関西には、流石に手を出せない

てゆうか規模が違う

じゃなくて


「最近西が動いてるだろ?あれを先に片付けて、手を焼かすものを無くしたいんだ。
他のことに手を焼く暇はない。西を先に潰して、それから。スコーピオンだ」


口がポカーンと開いてる朔に、まだ話を続ける。


「自分達から手を出す事はしないつもりだったけど、例外だ。今俺らは高2の夏。卒業まであと1年半。長くはないだろ。もうすぐ卒業だ。

それまでに、杏を…開放してやれるかわかんねぇ。逆に…遅いと解決してやれるまで、杏は不安なまま過ごすことになる。

早いに越したことはないだろ?」


杏を挟んで向いに座る朔は、杏と俺を交互に見てため息をついた


「お前がいっぱい喋る時って、ろくな事ない」

「…そうか?朔はどう思う?」

「別に…お前が総長だ。決めたらみんなついて来るよ」
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