愛は惜しみなく与う③
ついて来る
俺は強制したいわけではない


「俺らがどんだけ思っても、こいつが頑固すぎるからな。上手くいくかどうか」

「そうだよな。俺もそれは思ってる」


1番の難所は杏を説得して、俺たちを頼ってもらう事。
杏が俺たちみんなを信頼しなければ、このことは成り立たない。

誰か一人信頼するだけじゃ、チームとして動けないから


でも1番の難所はそこじゃなかったのを、この後すぐに知る事になる



病室の内線が鳴る

内線の通話ボタンは、俺のすぐ隣

なんだろう?


そう思い出てみる



『すみません。峰岸さんですが、病院を移ると今聞いたんですが……どなたか移動申請書にサインいただけませんか?
移動するのを見届けてもらう人のサインが欲しくて…』


「え?待ってください。病院を移る?どういう事ですか?」


俺の問いかけに、朔も、は?と反応する。
移動?意味がわからない。ようやく容態も落ち着いたんじゃなかったのか?

もしかして


何か悪いところが見つかったとか?



『いえ…先程病院に電話が入りまして、移動手続きを電話で済ませました』
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