愛は惜しみなく与う③
「朔、大丈夫か?」
「いてぇ」
軽く振り上げた片手で叩かれただけなのに。朔は頬よりも上の目の横あたりを押さえている
杏を取り返しに来たってわけか
朔を下がらせて、志木さんの目の前に立つ
「俺は烈火の総長の、蕪木泉だ。親父がそっちで世話になっている」
「……その件に関しては、杏様に感謝してください。私は杏様に頼まれたので手配しただけなので」
胸ポケットから白いハンカチを取り出して手を拭く。
朔に触れた部分を念入りに拭く
なかなか、トゲのある人だな
「だから言ったんですよ私は。こんなチームにはいるべきでは無いと」
ベッドに腰掛けて、杏の髪を触る
恋人のような振る舞い
この人は杏を…愛しているんだ
朔が、こんなチームと言われた事に対して反応したが、手で止めろと制する。
「まぁ、杏様が貴方を褒める事は少しわかりましたかね。突然の出来事に対しての対応は、さすが総長とでも言いましょうか」
朔をチラリとみて、ふっと笑って俺に視線を向ける