愛は惜しみなく与う③
そして語った内容は、あまりにも切なかった
その嫌われてもいい覚悟
それは俺たちにはまだ出来ていない
そこで初めて、この人と、俺たちの杏を守る覚悟が、全然違うということを見せつけられた気がした
この人は…
全てを……本当に全てを、杏に捧げている
「怖気付いただろ?目を覚ました杏を見ない方がいい。取り乱してるかもしれないし。なんせ、貴方達の手に負える話じゃない」
しっかりとした敬語の話し方からガラリと雰囲気は変わり、志木さんはネクタイを緩めて話し出した
「前も…過去のことを話してくれたけど、杏も取り乱してたけど、あんたが言うほどの事ではなかった気がする」
スコーピオンに妹を殺されたと杏が話してくれた時。みんなに話してくれた時。
たしかに取り乱してたけど…
そんな俺の言葉を聞いて、あーあれか。と何か思い出したように笑った
「あんたら、スコーピオンのサトルに、杏の妹が殺されたって聞いたんだろ?それ聞いてどう思った?」