愛は惜しみなく与う③
「綺麗事じゃない。杏は笑顔が1番似合う。この先もずっと、笑顔でいて欲しい。
そう思えば、復讐は馬鹿げている。あなたが、サトルを殺して、杏は喜ぶのか?笑顔になるのか?
杏が復讐を遂げて、杏は笑顔になるのか?
違うだろ。
側にいて、一緒に乗り越えて行かなきゃ、笑顔になんて、なれないだろ!」
俺だって、親父を憎んでいた。
あんな家…そう思ってた。
蕪木組を潰してやれと思っていた。親父のために。そう思ってたけど違う。
それは俺のためだ
そしてその考えは目先のことしか考えていない。
もしあの時、組を潰していたら、今みたいに親父と腹割って話せなかった。
あの時親父が何を考えていたのか知ることはできなかった。
親父と笑顔で話せることなんて一生なかった
そのきっかけをくれたのは杏なんだ
復讐や憎しみは、わかる
でも
それだけで解決するものなんて無い
虚しさや後悔が残るだけだから
「俺は、過去を乗り越えて、未来を杏と一緒に歩いて行きたいんだ」