愛は惜しみなく与う③
「…すみません。彼も本気だったので」
「アホやろ。泉は喧嘩の中の本気や。でもあんたのは、人を傷つけるための本気の拳やった」
頭痛い…
そう言ってフラッと倒れそうになる杏を支える
「杏?大丈夫?」
「ん。大丈夫、ごめん、結構寝てたやろ?頭にぼーっとする」
でもまだ眠い
目をゴシゴシかく杏の手を止める
「赤くなるぞ?目薬いる?」
「泉、目薬持ち歩いてんの?」
「ドライアイっつたろ」
その辺に置いてあった鞄から目薬を取り出して、杏に渡す。
「そやった、泉はドライアイやったな」
納得納得!そう笑って目薬をさしていた。なんとも居心地の悪いこの場所で。
「朔?何座り込んでんの?」
部屋の角で座ってポカーンとこちらを見ている朔に、杏は気づいたようだ
「ば!お前!起きるタイミング!」
「いや、ちょっと前から目は覚めてたんやけどさ?脳味噌が働かへんくって…志木の声するし、泉の声するし、え?って一人で混乱してたんや」
起きてたのか…
全然気づかなかった。
目瞑って、どういう状況か考えてたんやで?そう言う