愛は惜しみなく与う③
「で?心配だけちゃうやろ?あんたがここまで動くのは。何が理由?言うまで帰さへんで」
「別に私は、何日でも滞在できますし、杏様のそばにいれるなら、帰らなくて構いませんので」
「アホか!!冗談ゆうてんのちゃうねん。あたしの勘がゆうてる。なんか志木が隠してるって」
ほら、どや?ゆうてみ!
志木さんの足元をゲシゲシと軽く蹴りながら、杏は尋問?している
たしかに
俺にはわからないけど、何か理由がありそう。
だって…
東堂の方が安全だと言った
まるで何か起こるのを知っているかのような…
そしてさっきから引っかかる事があった
「あのさ…江森紗羅って、長谷川の事か?」
2人の会話でその名前を言っていた。
江森紗羅と聞いて、何か繋がった気がするんだ。
「そうそう。紗羅ちゃんが、今の家族のところに行く前の、名前が江森紗羅やった。随分江森紗羅は、長いこと使ってた名前みたいやな」
そうか
繋がった
「江森紗羅は、黒蛇の女の、江森椿と姉妹だったんだ」
そう。響にあんなことした、あの女。
あの女は、江森椿という。