愛は惜しみなく与う③

「で?心配だけちゃうやろ?あんたがここまで動くのは。何が理由?言うまで帰さへんで」


「別に私は、何日でも滞在できますし、杏様のそばにいれるなら、帰らなくて構いませんので」


「アホか!!冗談ゆうてんのちゃうねん。あたしの勘がゆうてる。なんか志木が隠してるって」


ほら、どや?ゆうてみ!
志木さんの足元をゲシゲシと軽く蹴りながら、杏は尋問?している


たしかに
俺にはわからないけど、何か理由がありそう。
だって…

東堂の方が安全だと言った

まるで何か起こるのを知っているかのような…



そしてさっきから引っかかる事があった


「あのさ…江森紗羅って、長谷川の事か?」


2人の会話でその名前を言っていた。
江森紗羅と聞いて、何か繋がった気がするんだ。


「そうそう。紗羅ちゃんが、今の家族のところに行く前の、名前が江森紗羅やった。随分江森紗羅は、長いこと使ってた名前みたいやな」


そうか

繋がった



「江森紗羅は、黒蛇の女の、江森椿と姉妹だったんだ」


そう。響にあんなことした、あの女。

あの女は、江森椿という。
< 229 / 410 >

この作品をシェア

pagetop