愛は惜しみなく与う③
「貴方が頼れるのは、私だけでいいのに」
ほら、困った顔をした
そんな顔、させたい訳じゃないのに
「なぁ?あたし志木のこと頼りにしてるで!あんたが思ってるよりもずっとや。でも、泉達のことも、頼りにしてる。
話して見てわかったやろ?泉の事が。あたし達よりもずっと、真っ直ぐな人やろ?」
可愛い顔で微笑む
妬いてるんですよ
後から出てきた、日も浅い男達です。
正直、その辺の害のない虫程度にしか思っていませんでした。
でも
今日私の目の前で、杏を笑顔にしてあげたいと言ったあの男は…
とても真っ直ぐで男らしく
杏様を、明るく照らすような男だった
あの時私は、本気で殴りかかった
躊躇いなく
それを受け止めて驚いた顔をした、泉という男の顔を、私は忘れないでしょう
あの男を見て、昔、杏様に言われた事を思い出した
『志木はあたしと一緒に、どんどん落ちていくタイプやな』
その言葉の真意は、その時は分からなかった。
あなたとなら、どこまでも
そう思っていました