愛は惜しみなく与う③

別に俺たちはヤンキーをやりたいわけでもない。グレたのは認めるけど、それで誰かに反抗してやりたいって気持ちは今はもうない

俺はみんなに、社会不適合者になって欲しくない。

だから礼儀にはうるさくしてきた


しっかりと並んで頭を下げると、笹塚さんは笑っていた


「宿に着いたら、とりあえず海斗さんが仕事手伝ってほしいって言っていましたよ?」

「やだよーー俺たち海に行くんだ!」

「そーだそーだ!」


嫌だと駄々をこねる朔と響に、こわーい声が聞こえる


「おい、おめーら俺の手伝いできねーのか?」


海斗さんの声?
よくみると車のBluetoothが繋がっていて、海斗さんと通話中になっていた

げ!!とあからさまに嫌がった朔は、きっと海に行かせてもらえないくらい、コキ使われるだろう



車は5分ほど走り、すぐに宿にたどり着く



本当にいい宿だ


目の前はビーチに、裏にはキャンプができるような、広い原っぱみたいなのが広がる


全員窓に顔をへばりつけてキラキラとした目でみる。

そうか、ここに来たことあるのは俺だけか
< 25 / 410 >

この作品をシェア

pagetop