愛は惜しみなく与う③

暗い笑顔を向けられて、あたしは志木から視線をそらして窓の外を見る


志木…


開き直ったら直ったで、めんどくさそうやな…



「今、これはこれで面倒だなと思ってるでしょ」

「……おもってまへーーーん」


過保護も面倒やったし、過保護は今も変わってないけど、こっちで出会ったみんなに、絡もうとしてるのが、手に取るようにわかる。

前なら絶対


『なんで私が、そんな人たちと会わなきゃいけないんですか?』


とか蔑んだ顔してたのに


これは家まで来て何日か滞在するつもりやぞ?

かなり面倒やねんけど



「あのーー志木さんも、杏の家泊まるの?」

「志木でいいですよ?」

「いや、さすがに呼び捨ては…」

「じゃ、俺は志木って呼ぼっと!」

「あなたは、敬意を込めて、さん付けしてください」

「な!なんで泉だけ!」



いや
面白いけどな?志木が泉と話してるのも、朔のことをいじっているのも…


なんか新鮮やけどさ?



絶対志木が家にいることによって、何か嵐が舞い込んでくる気がする
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