愛は惜しみなく与う③
「なぁ、とりあえずさ?志木はあたしの家にくるん?」
「ええ、そのつもりですが。何か問題でもありますか?」
「問題はないけど……東堂空けて大丈夫?」
2.3日志木が居ないだけなら、なんとでもなるだろうけど、今は忙しくないのかな?
「東堂より先に、スコーピオンを片付けなければなりませんので。あと、蘭様は、海外へ少しお仕事が入ったので……暇です」
あぁ、そうか。
夏にはいつも、母上は海外に行っていたか。
夏の終わりに経営計画報告会があるねんな?それだけ行かなあかんなー
「なぁ、お前の母親、蘭って言うの?」
「うん、せやで?」
名前と見た目はすごく一致する、凛とした女性。そうあたしでも思う。
「ちょっと、杏様を、お前って呼ばないでいただけますか?無礼な」
「はー?」
朔と志木は…
犬猿の仲みたいで、とても面白い
「俺は、こいつの執事じゃねーの!だからなんで呼ぼうが関係ねぇだろ!」
「また、こいつって言って…好きな子をいじめる小学生ですか?」