愛は惜しみなく与う③
あたしはもう、目が閉じて何も聞こえないくらいに爆睡した。


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「あの」

「ん?なんですか?」


なんか世間話のようなものをして、少しの沈黙の後に、志木さんが声をかけてきた




「妹が生きていると言う話ですが、やはりもう少し待ってもらっていいですか?」



どうかしたのだろうか。
俺はまだ勇気が出ずに、いつ話そうかと迷っていたけど…



「何かありました?」

「いえ…それぞれ全員に会ってから、判断したいです」


ま、俺もその方がいいと思う


「朔みてて、不安になりました?」

「信頼していない訳ではありませんが、何もないフリは彼にはできそうにもないので」


志木さんの判断は正しいと思う。
もし朔がしれば、必ず杏におかしな態度を取るし、ふとした時にその事をポロリと言ってしまいそう

だから朔には言わない方がいい

それを言うなら俺は



「まだ、知ってるのは俺だけでいい」



だってもしみんな知ってしまったら…
杏がもしそれを知った時…
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