愛は惜しみなく与う③
泉に借りたTシャツが、ドボドボになるくらい、汗をかくような気がする
「杏ちゃんは、男の子連れてきてよ!この店女の子しかこないからさ?俺イケメンじゃん?男は僻んで店に来ないの」
そう自分で言う。
まぁ確かにかっこいいとは思うけど!!!!
そこじゃない!
「男だろうが、、女だろうが客は客やん?別に女の子だけでええやん」
そうそう。女の子に関しては、みんなに任せておけば、余裕や。
「誰からも好かれる店にしたいのーー!」
ほっぺを膨らませて、むっとする海斗さん。
その言葉でなんだか揺らいでしまった。
たしかに、あたしはマドリカで働いていて、わりとメルヘンな店内に甘いケーキ。
女の子はいっぱいくるけど、男の子はあまりこなかったりする。
男性層にもきて欲しくて、甘さ控えめのものを考えたり、デートで来やすいようにカップルメニューも考えた
カフェメニューもつくって、甘いもの以外の軽食もつくった。
女性層も男性層も、どっちも店にほしかった
その気持ちは痛いほど分かる
だから、あたしは海斗さんの申し出にうなずいてしまった。