愛は惜しみなく与う③
あたしが一緒に行ってと言うと、とても満足そうに泉は笑った
おいで
とあたしの手を引いて、紗羅ちゃんの家の扉を開けた
家の中は静かで
人の気配はなかった
何を話せばいいか、未だに戸惑う部分はある。怒りたいわけでもないし、責めたいわけでもない。
ただあたしは
普通に友達になれたらなって思ってた
そう思ってたんだけどな
「…紗羅ちゃん」
カーテンも閉め切った薄暗い部屋で、小さくしゃがみ込んでいるのは、紗羅ちゃんだった
あたしの声にピクリと反応して顔を上げたが、その顔は見れたもんじゃなかった
「水瀬にやられた?」
近くにしゃがみ、紗羅ちゃんの頬に触れると、手を払い退けられる
「心配なんてしないで。なんで、杏ちゃんが来るのよ…」
紗羅ちゃんの声は掠れている
泣いて声が枯れたのか
「なぁ、少し話さへん?2人で」
おい、杏!と泉は言ったが、大丈夫
2人じゃないと…
「大丈夫やから。なんかあったら、殴ってでも抵抗するし。少し話したらすぐ呼ぶから。玄関の前で待っててほしい」
おいで
とあたしの手を引いて、紗羅ちゃんの家の扉を開けた
家の中は静かで
人の気配はなかった
何を話せばいいか、未だに戸惑う部分はある。怒りたいわけでもないし、責めたいわけでもない。
ただあたしは
普通に友達になれたらなって思ってた
そう思ってたんだけどな
「…紗羅ちゃん」
カーテンも閉め切った薄暗い部屋で、小さくしゃがみ込んでいるのは、紗羅ちゃんだった
あたしの声にピクリと反応して顔を上げたが、その顔は見れたもんじゃなかった
「水瀬にやられた?」
近くにしゃがみ、紗羅ちゃんの頬に触れると、手を払い退けられる
「心配なんてしないで。なんで、杏ちゃんが来るのよ…」
紗羅ちゃんの声は掠れている
泣いて声が枯れたのか
「なぁ、少し話さへん?2人で」
おい、杏!と泉は言ったが、大丈夫
2人じゃないと…
「大丈夫やから。なんかあったら、殴ってでも抵抗するし。少し話したらすぐ呼ぶから。玄関の前で待っててほしい」