愛は惜しみなく与う③
その後紗羅ちゃんは、うわーん!んと泣いてしまった


あたしはただただそれを見ることしかできなかった。

サトルに恋する紗羅ちゃん


そして、鼻声の紗羅ちゃんは、とても驚く事を話し出した

あたしには、それを理解する事は出来なかった




「サトルの好きな人は、杏ちゃんだったんだね…」


消えそうな声でそう言った紗羅ちゃん

嘘でもそんなこと言わないで欲しかった

カッとなって手が出そうになるのを堪える


好き?意味わからんやん



「昔から、これ!と思ったら…手に入れるまで、すごく意固地になる性格だったの。だからきっと、杏ちゃんにこだわってるのは、そういう事」


「待って?好きな訳ないやん。」


アホちゃう?
好き?意味がわからへんやろ。あたしはサトルとあの事件よりも前に会ってもないし…
それに、好きやから?こんなに追い詰める?


「それやったら、腐ってる」


身体がスッと冷えた感覚に陥る。
何か嫌な物が纏わり付くような…



「杏ちゃん。あたし、杏ちゃんと友達になりたかった」
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