愛は惜しみなく与う③
紗羅ちゃんからは情報は得られない。そして紗羅ちゃんは、サトルが居る限り、サトルのために動く
スコーピオンの奴らが紗羅ちゃんに接触したとしても…
もう関係ない
そしてもう、騙されたり信じたりしない
「おいで」
困ったように笑う泉に手を引かれて、あたしは紗羅ちゃんの家を出た
昔から言われてたし知ってたのにな
女は裏切るって
その中でも見つけた仲間をあたしは、裏切った
だからあたしはとやかく言える立場じゃない
美奈子と敦子
薔薇に居た、あたしを含め数少ない女の子
あの2人はどんなときも
あたしのそばに居てくれた唯一の友達
元気にしてるかな
「杏?気分悪いか?」
泉の声で我に帰ると、もう駅前まで歩いていた。そうか。紗羅ちゃんの家を出て歩いてたんだった
こんなセンチメンタルな感じ久しぶり
「ごめん、考え事。最後に紗羅ちゃんに何ゆうてたん?」
紗羅ちゃん大きい声出してたけど…
「あぁ…サトルの居場所分かったから、お前はもう用ないって言った。そしたら、何処だって喚いたから…本当に居場所は知らないんだなって」