愛は惜しみなく与う③
「女の子ってさ、難しいな」

「ん?俺に女の子のこと聞く?」

泉は笑う
そりゃそうや。泉が女の子のこと語ってたら笑えるけど…

でもそう思うねん


「あたしさ、中学の時さ、男好きって言われて、すんごい噂が流れたのよな。まぁ学年違う志木とかメンバーとずっと一緒に居たし、言われてもいいねんけど、それで女友達が離れて行って。

別にいじめられてるとは思わへんかったけど、ただ距離を置かれた。

友達は、志木のこと好きやったり、薔薇のメンバーが好きやったり…


恋愛ってめんどくせぇーって思ってた」


そう
今回もそう思ってしまった


あんな風に人を動かしてしまうんやな…


そう呟くと、少し前を歩く泉が、前を向いたまま話し出した


「俺も、愛だの恋だの苦手だ。正直俺が思ってる、好きって気持ちも、正しいのかさえ分からない。長谷川は、好きな奴のために、あんな風になってしまって…悪いことも平気でしたけど、でも…」


そう。その気持ちだけで、とんでもないことをしてしまう事もある…



でも泉は言った



「好きな奴のために、いい風に変われることもあるって、俺は知ってる」

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