愛は惜しみなく与う③

第二の被害者がでそうになり、小走りで男の手を掴む


はぁ

ほんま、こんな綺麗な海で、もめるな


「ちょっと譲ってくれって言っただけだろ」

「ほな別に、落とさんでええやろ。危ない」

「ねえちゃん、この海では強い奴が好きなところで遊べるんだ。ビビってるなら、さっさとどけよ!!」


後半は男の子達を睨んでそう怒鳴りつけた

いや、なんかもうさ?恥ずかしくないんか?
聞いてるこっちが恥ずかしいわ


「なぁ、遊び場所譲ってほしくて、子供相手に怒鳴りつけるとか、恥ずかしくないの?きもない?普通に。てか、ええ歳やろ?それで遊び場所よこせって……ガキかよ」


そう言い終わると、鬼のような顔に変わる男。
掴んでいた手を、反対の手で掴まれて引っ張られる

おっとっと
バランスを崩し男の目の前に立つ


中学生くらいの男の子達は半泣き。海に落とされた子は、顔が真っ青


でもさ?ふつうに、子供じゃないねんから、先客おったら我慢するか、どくまで待てよ



「手はなして」

「女だからって容赦しねーぞ」

「ありきたりなセリフ言うなや」


男達はなにやらアイコンタクトをして、何かをボソボソと話し出す
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