愛は惜しみなく与う③
「……おかしいですね。あなたが見ても分からないとなれば、カメラに映らないように出入りしてるかですね」

「このマンションに、そんなことできる場所はないですよ」


厳重なんだ、杏ちゃんのマンションは

あのエントランスを通らなければ、他に出入口はない。


「不自然な編集点は、こちらで調べた限り、ありませんでした。」

「1階の窓には格子もあったし、誰かが1階からあの男を手引して入れていたなら、可能性はあるかも」

確かに1階のベランダからなら、侵入出来ない事もない。まぁ、このマンションの敷地にどうやって入るからだけど…

でもそんなことまでして?
一体何が目的で…


「1階はナシですね。エントランス以外の防犯カメラを確認しましたが、不思議な動きのものは居ませんでした」


どういうことだよ


目の前の烏龍茶を一気に飲む
せっかくこれでスコーピオンに近づけると思ったのに。絶対あの男、スコーピオン関係なはずなのに!




「管理人室はどうですか?」


「え?」


あ。と志木さんは声を漏らしてそう尋ねてきた。管理人室?
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