愛は惜しみなく与う③
「嬢ちゃん、こっちこいよ。飲みもん配るの手伝ってくれ」


溜息をつくハザマさんに呼ばれて、あたしはゴトウさんから離れる

ふぅ。ほんまあの人疲れるわ


「あんま気を悪くしないでやってくれ。ゴトウはあれでも苦労してるんだ」

「いや、別にいいけどさ?ちょっと会うたび面倒やわ」


「組長、容態安定してきたんだろ?ありがとな」


思ったより早く手術はできないけど、パパちんの容態は安定してきて、このまま保てるなら手術もできるらしい

よかったよ、それは本当に


「ゴトウは、自分が変えられなかったこの組を、嬢ちゃんがパッと変えてしまったから…嫉妬してるだけなんだ」

「あたしは何も…」

「でも、泉が帰ってきてのは、あんたのおかげだろ?それだけで充分だよ。組長も手術受けれるし、感謝しかねぇ」


ガシガシと頭を撫でられるが、痛い…
力の加減を!!とハザマさんに言おうてして、ハザマさんの手を取って顔を見ると


何も言えなかった


だってハザマさんが、さっきまでとは雰囲気が違ったから


「ど、うしたん?」
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