愛は惜しみなく与う③
真剣な顔をするハザマさんに問いかけると、思いがけない言葉を耳にした



「スコーピオン探してるんだろ」



「……え?」



突然の名前に戸惑ってしまう
なんでハザマさんの口からスコーピオンって出てきたのか


「諦めて、受け入れろ。それしかない」

「………」


意味わからへん

目の前にいるのは、この前の抗争で初めて出会ったハザマさん。
昔から蕪木組にいて、泉の父親を慕ってる。

そう聞いてる


そして泉もハザマさんを慕ってる



そのハザマさんから、スコーピオン?あきらめろ?受け入れろ?

突然のことすぎて理解が追いつかへん



「サトルは、嬢ちゃんを……諦めない」



胸が苦しい
またこれや。動揺したらすぐこうなる


「ハザマさん、サトルのこと…知ってるん?」


ハザマさんは、あたしの問いかけには答えてくれない。

その沈黙は


肯定やな


何突然。なんでこんなに、スコーピオンに関わりある奴が出てくるようになったん?



今あたし達の周りには誰もいない。むしろここは、母屋から離れている。


この精神状態でハザマさんに勝てる?
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