愛は惜しみなく与う③
頭おかしい
あれよりもしんどいことなんて無い

あれよりも悲しいことなんて無い


やのになんでハザマさんは、あんな悲しそうな顔をした?何を知ってる?



「こ、このまま何もせず、卒業したら…傷つかず済むの?」


「あぁ。そうだよ。それは保証する」


「あたしが…このままサトルを追えば?サトルを殺してしまおうと思ってた」


「……そうすればきっと、嬢ちゃんは立ち直れない事になる」


「スコーピオンは、烈火を狙う?みんな傷つく?」

「そんなもんじゃ無い。あんたの全てを…奪って、過去から全て……あんたのしてきた決意も全て。壊れる」



あたしはハザマさんの服を掴んだまま


かたまってしまった


烈火だけで済まへん?何よそれ
あたしの決意も全て?


サトルは何を握ってる?
何を隠してる?
あたしは何を、見逃してるんやろう



「このことも黙って、何事もないようにしな。忠告だ」


顔を近づけてあたしに囁くハザマさん


突き飛ばして大声で叫びたい


やのに身体が動かへん




そんな時に、肩に力がかかり、あたしの身体をハザマさんから引き剥がしてくれた腕があった
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