愛は惜しみなく与う③
「……何してるんですか?」


その声を聞いて我に帰る



「……ゴトウか」

ハザマさんは、あたしの後ろにいるゴトウさんを、少し鋭い目で見る

あたしはゴトウさんに身体を預ける形で、もたれかかっている



「あまりいい雰囲気ではなさそうなので。ハザマさん?いくらあなただからって、坊ちゃんのお友達に手を出したら許しませんよ」


いつもは意地悪のゴトウさんは、あたしを自分の後ろに隠すようにし、ハザマさんの前に立つ



「ゴトウは相変わらず鋭いなぁ」


勘弁してくれ。そう言いハザマさんは、降参とでもいいたげに、両手を軽くあげた


ちがう


まだ聞かなあかんことある



「杏さん?大丈夫です?」


再びゴトウさんに声をかけられて、そして気づいた。目の前にいたハザマさんは、居なくなっている

どう、しよ


泉に相談する?いや、違う
ハザマさんがスコーピオンと関係あるなんて言えへん。確証を得ないと



「……何を話してました?」

「え?」
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