愛は惜しみなく与う③

「とりあえず、私の部屋へどうぞ。そこなら安全ですし、話も聞かれません。」


ゴトウさんの後を、泉に支えられながら歩く。


離れの一室の前
ゴトウさんの部屋らしい


「俺、扇風機とってくる」


ゴトウさんの部屋は暑く、エアコンもない様子。泉は少し待っててと言い、部屋を出た


ゴトウさん…



「ハザマさんと居たことは言わんといて下さい」

「…坊ちゃんも、あなたとハザマさんが一緒にあの場を去ったのを見ています。まずは、坊ちゃんもハザマさんを疑うでしょう」

「うん。でも、あたしが話したいから。ゴトウさんは言わんといて」


じーっとあたしの顔を見て、再びため息。


「分かりました。私からは何も言いません。ただ、坊ちゃんを悲しませることだけはしないで下さい」

「…うん。分かってる」


だって約束したから

どんなことでも、もう泉に

嘘はつかないって



話すから、少し整理する時間をください



「わりぃ。むしろ、親父の部屋で話そう。そっちのが涼しいから」

汗をかきながら泉はゴトウさんの部屋に戻ってきた
< 395 / 410 >

この作品をシェア

pagetop