愛は惜しみなく与う③
ビーチの方を見ると、慧と朔はホイホイとナンパしている。
うんうん。さすがやなぁ
ちょっとお腹いっぱいになって、眠なってきた…
「杏?大丈夫か?」
コテンと寝落ちしそうになった時、頭を大きな手に支えられた
「ほぇ?泉?」
ガッチリ頭を持って、元の場所に戻してくれる。泉からはタバコの匂いがする
「サボってたやろ」
「内緒な?」
ふっと泉は笑った。まぁ泉はこういうの嫌いそうやしな笑
エプロンも外して、アロハシャツみたいなのを羽織っている
「眠るか?」
「んーん。大丈夫」
多くは話さない泉。でもまぁそれが心地いい
眠たい。けど、もう少しだけお客さん呼ぶの手伝いたいなぁ
「泉はー?ナンパせんの?」
「しない」
あぁ、そう。一言終了。
泉にナンパは似合わへんか
「泉先輩も、お水入りますか?」
紗羅ちゃんが気を使って声をかけてくれるが、いらない。とまた一言
愛想が悪いというか、何というか…
もうちょいさ?優しく話したらいいのに
「杏?何かされた?」
「え?なんで?」
泉はあたしの手を掴んでそう言う。掌をじっとみて……
「擦った後がある」
探偵かよ
たしかにさっき揉めたときに、膝蹴りしてた男が気絶して、その反動でちょっと手をついて転んだ
そんときに少し傷ができたんかな?