愛は惜しみなく与う③
はぁ、わかってるわかってる
そんなんええから、とりあえず落ち着いてくれ

「なんだ、この煩いのは」

眉間にシワをよせて、泉はまわりをぐるっと見るが、そんな泉をみても、きゃーーと騒ぐ女の子


女の子の声で、他の周りの視線もこちらへ向く


あんまり目立ちたくない

あたしが言うのもなんやけど



この場から離れようと思ったけど、遅かった



「おいおい、うるせーな。女にいっぱい囲まれて、随分楽しそうだな、おい」


ガラの悪そうな…ていうか、ガラの悪い、おにいちゃん達に囲まれる

もう…だから海は嫌いや


泉の顔ほんまに見てるの?どこが楽しそうやねん!もう今にも殴りかかりそうな顔してるやん!


もめたくないもめたくない
お前がゆうなってツッコミせんといてな!


女の子も、少し怖がって後ろに下がる


「俺たちも混ぜてくれよ」


ニヤニヤ笑う男に、泉は好きにしろと一歩下がる。いや、待って!

あたしの手を引いて海斗さんの店に向かって歩こうとするから、引っ張ってやる


「ん?」

「ん?ちゃうわ!」

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