愛は惜しみなく与う③
当たったらって、当てようと殴ってるねんで?


さっさとここから立ち去れと。そう言おうとしたとき、空振りした男があたしの右手を掴んだ



「いたっ」



咄嗟に声が出て、男の手を掴むが、痛さで顔が歪む
やっぱり、痛めてたんか…
ツインテールめ!ほんまに…

「痛そうだな?」

うっさい黙れ!

そう言おうとしたら、男が宙に舞った


ちょっと、見えへんかった


あたしの手から離れた男は、白目をむいて、ビーチに倒れ込んだ

ポカーンと口を開けて見ていると、今度はあたしの身体が宙に浮く


「え?」

「ごめん、気づかなかった。ごめんな」


泉にお姫様抱っこされてる。
いや、怪我してんの手やし、歩けるで?

そう言おうとしたけど、あまりにもショックを受けたような…悲しい顔をする泉に、そうはいえなかった


「おい、こいつら何とかしろ」


泉は近くにいたメンバーに声をかけて、店へ戻る

そんなに重傷じゃないねんけどな…



「痛いか?」

「普通にしてたら大丈夫」


大丈夫ゆうたのに、また悲しい顔。なんて答えたらよかったんよ…
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