愛は惜しみなく与う③
「え?なんだって?」
驚いて目を丸くする海斗さんは、それはそれは、おもろい顔してた
「だから、ちょっと捻挫しただけですって」
気まずい
なぜあたしが気まずい思いをせんとならんのや
「足首?」
「…………手首」
あたしがそう答えた時、海斗さんは想像通りの反応をする
「いや、なら歩けるじゃん!!!!」
ええええっと大きめなリアクションありがとうございます。もうなんか、あたしもそう思ってたし、当の本人なんで歩けるし、もうね、同じ気持ちよ…
そんな海斗さんの様子を見ても、特に顔色も変えずに泉は話す
「なんかテーピングとかないっすか?」
「え?あぁ、宿にはあるけど…」
「じゃあ俺とってきます。その間、杏を見ててください」
スッと立ち上がって、あたしの頭にポンと一回手を置いて、泉は休憩室を出た
ポツリと残される2人
えっと…
「なんか騒がしくてすんません…」
とりあえずぺこり
「全然!それよりも大丈夫?痛むの?」
「いや、なんか力入れたり、負荷かかると痛むくらいで……大袈裟なんは泉だけです」