愛は惜しみなく与う③
「なんやろ?捻挫に嫌な思い出でもあるんちゃう?」
「またまたーー杏ちゃんにだけ、あいつ過保護なの。もう俺にも優しくしてーーー」
海斗さんがそう叫ぶと、ちょうど泉が帰ってくる。その手にはテーピングや何やら大袈裟そうなメディカルバックが…
「優しくしてってなんですか?」
横目で海斗さんを見ながら尋ねる泉は、せっせとあたしの手首にテーピングを巻いている
手際がよろしい
「いや、泉は杏ちゃんには優しいなって思ってさ?」
「……優しくしてるから、当たり前」
??
「えー俺にも優しくしてよ」
「……なんで?俺結構海斗さんのこと助けたり手伝ったりしてる方だと思うけど…」
ね?と泉は海斗さんにいう。昔の話を少し聞いたから、なんだか二人を見ていると面白い
「女の子にスケベな奴か!お前は!」
「…はぁ、仕事場戻ったらどうです?」
しっしとあしらわれた海斗さんは、うわーんと嘘泣きして走り去っていった。
本当に賑やかな人や